胸にたるみを抱える男性がトレーニングを開始する前に、必ず確認しなければならない極めて重要な分岐点があります。それが、自身の胸の膨らみが「偽性女性化乳房」なのか、それとも医療的処置を視野に入れるべき「真性女性化乳房」なのかという見極めです。
「偽性」は単純に肥満や加齢による筋力低下で皮下脂肪が溜まった状態を指し、適切な運動と食事コントロールによって完全に引き締めることが可能です。一方で「真性」は、何らかの原因で男性ホルモン(テストステロン)と女性ホルモン(エストロゲン)のバランスが崩れ、本来男性では退化しているはずの乳腺組織が異常増殖してしまった状態を指します。乳腺は脂肪組織ではないため、いくら過酷な食事制限や筋トレを行っても縮小しません。
両者を見分ける触診のポイントは極めて明確です。仰向けに寝た状態で胸の力を抜き、親指と人差し指で乳首の周辺を挟み込むように触診してください。乳首の奥に「硬いしこり状のグリグリした感触」があり、つまむと鈍い痛みを伴う場合は、真性女性化乳房の疑いが濃厚です。対して、乳房全体が柔らかく、どこをつまんでも弾力のある皮下脂肪の感触しかなく痛みもない場合は、偽性女性化乳房と判断できます。
男性ホルモン胸の脂肪真相に目を向けると、テストステロンの分泌低下は胸の脂肪蓄積に拍車をかけます。過度なストレス、睡眠不足、過度の飲酒、あるいは加齢によって遊離テストステロン値が低下すると、体内のアロマターゼという酵素の働きにより、男性ホルモンの一部が女性ホルモンへと変換されやすくなります。その結果、内分泌環境が乱れ、胸部に脂肪と乳腺が集中的に形成される悪循環に陥るのです。特に30代半ば以降に急激に胸がたるみ始めた場合、ホルモン環境の変調が裏に潜んでいる可能性を疑う必要があります。