浄土真宗の仏壇飾りを語る上で、他宗派の門徒が最も驚くのが「水やお茶を入れた湯呑みを供えない」という点です。浄土真宗では、阿弥陀如来の極楽浄土には清らかで甘美な「八功徳水(はっくどくすい)」が満ち溢れていると説かれるため、現世の人間が飲むような水やお茶を供える必要がないと考えられています。
その代わりに用いられるのが、華瓶樒飾り方詳細に見られる「華瓶(けびょう)」の存在です。華瓶とは、親指と人差し指で作る輪ほどの極めて小さな真鍮製の壺で、通常は一対(2個)用意します。仏壇の上段、ご本尊のすぐ前の「上卓(うわじょく)」に火舎香炉(かしゃこうろ)を中央にして左右に配置します。
華瓶(けびょう)の正しい扱い方:- 華瓶の中には清らかな水を注ぎ入れます。
- 水の上に「樒(しきみ)」の枝葉を差します。樒が入手困難な地域では、ヒサカキやツゲ、アオキなどの常緑樹の小枝で代用します。
- 色鮮やかな花を差すのではなく、樒の芳香によって水を香水(こうすい)に変え、清浄を保つことが目的です。
下段の前卓(まえじょく)に飾る彩り豊かな仏花と、上段の上卓に据える香水用の華瓶・樒。この上下の二重構造を理解することが、浄土真宗法事花の飾り方を完遂するための極めて重要なポイントです。