保育園における3月の壁面製作や幼稚園での造形活動では、単に見栄えの良い飾りを作るのではなく、保育所保育指針および幼稚園教育要領に基づいた「年齢別のねらいと指導案」との整合性が求められます。乳児(0歳児・1歳児・2歳児)と幼児(3歳児・4歳児・5歳児)それぞれの発達段階に合わせ、子ども自身が夢中になって取り組める具体的な手法を整理しました。
0歳児・1歳児・2歳児(乳児クラス)の製作アイデアとねらい
3月壁面製作の0歳児・1歳児・2歳児クラスでは、「感触を楽しむこと」「自分の動きによって色や形が変わる面白さに気づくこと」「指先を使った簡単な操作に達成感を持つこと」が指導案の柱となります。
- 0歳児(ねらい:素材の感触を味わい、保育者と一緒に春の色彩に親しむ):お花紙(フラワーペーパー)をくしゃくしゃに丸めたり破いたりする感触遊びを取り入れます。丸めたピンクや水色のお花紙を透明なポリ袋に入れ、上から金の折り紙で作った冠や扇を貼れば、立体感のあるひな祭りの衣装や、ふんわりとした春の桜の木が完成します。絵の具を使う場合は、ジップ付き保存袋の中に画用紙と絵の具を入れて上から手で叩く「フィンガーペイント(汚れない袋スタンプ)」が衛生的かつ安全です。
- 1歳児(ねらい:スタンプやシール貼りなど、指先を使った表現を喜んで行う):乳酸菌飲料の空き容器にメラミンスポンジやガーゼを巻き付けた「タンポ」を使い、黄色と白の絵の具でポンポンと画用紙にスタンプします。1歳児の力強い連打によって、春風に揺れる満開の菜の花畑が表現できます。また、丸シールを台紙に貼るひな祭りの着物模様づくりも、目と手の協応動作を育む絶好の機会です。
- 2歳児(ねらい:のりやハサミの一回切りに興味を持ち、自分で作った喜びを味わう):進級を控えた3月の2歳児クラスでは、ハサミの「一回切り(連続ではない1カット)」の導入が定番です。細長く切った色画用紙をチョキンと1回切ったパーツを、お雛様の冠やチューリップの葉に見立てて糊付けします。人差し指に適量ののりを取り、「イチゴジャムくらいの量で塗ろうね」と声かけすることで、3歳児クラスへのスムーズな橋渡しとなります。
3歳児・4歳児・5歳児(幼児クラス)の折り紙アイデアと卒園装飾
幼児クラスにおける3月の壁面製作では折り紙のアイデアやハサミの曲線切り、さらには友達と協力して1つの大きな作品を作り上げる「共同製作」が指導案の中心に位置づけられます。
- 3歳児(ねらい:折り紙の基本的な折り方やハサミの連続切りを知り、春のモチーフを表現する):三角折りから左右の角を斜めに折り上げるだけのシンプルな「折り紙チューリップ」に挑戦します。角と角を合わせて指でアイロンをかける工程を楽しみながら、自分の顔を描いた画用紙のパーツを花の中に貼り付け、「チューリップからひょっこり顔を出す子どもたち」の壁面に仕立てると、春の陽気な雰囲気が教室いっぱいに広がります。
- 4歳児(ねらい:切り紙の仕組みに驚きや関心を持ち、卒園児への感謝の気持ちを込めて製作する):折り紙を三角に3回折ってから、型紙の線に沿ってハサミで曲線に切り込みを入れ、開くと5枚の花びらが現れる「切り紙の桜」が圧倒的な人気を誇ります。「開いてみるまでどんな形になるかわからない」というワクワク感が4歳児の探究心を刺激し、完成した大量の桜は卒園式の壁面装飾を手作りする際のメインアーチとして活用されます。
- 5歳児(ねらい:小学校への期待を膨らませながら、友達と役割分担して大作を完成させる達成感を味わう):卒園を迎える5歳児は、折り紙の「風船(立体)」を応用した気球や、細部まで折り込んだ立体ランドセル、そして「将来の夢」や「1年間で一番楽しかったこと」を描いた自画像プレートを製作します。さらに、クラス全員の手形や切り絵を重ね合わせて作る「巨大な虹」や「旅立ちの桜並木」など、子どもたち自身がレイアウトを話し合って決めるプロセスそのものが、小学校生活への自信へと直結します。