家庭料理を支えるインフラとしてのフードメディア産業も、激しいパラダイムシフトの渦中にある。かつてテキストと写真でユーザー投稿型レシピの文化を築き上げたクックパッド株式会社の一強時代から、現在は動画ファーストのサービスが主導権を握る。
dely株式会社が運営する「クラシル」や、エブリーの「DELISH KITCHEN」は、わずか数十秒のショート動画で調理工程の全貌を直感的に伝えるフォーマットを確立した。文字を読むエネルギーすら残っていない帰りの電車内でも、指先ひとつで今夜の献立が視覚的に決まる。アルゴリズムが個々の好みに合わせた最適解を提示する時代において、レシピメディアは「探す場所」から「インスピレーションを即座に受け取る場所」へと完全に再定義された。