メラノーマ(悪性黒色腫)とは、皮膚の表皮基底層に存在する色素細胞(メラノサイト)、あるいは良性のほくろの細胞(母斑細胞)が悪性化して生じる悪性腫瘍です。皮膚の色素であるメラニンを産生する細胞に由来するため、多くは黒色や褐色を呈しますが、稀にメラニン色素を作らない「無色素性メラノーマ」と呼ばれる赤色〜ピンク色の病変も存在します。
皮膚がんの初期兆候として最も警戒すべきは、「痛みやかゆみがほとんどないまま、病変が急速に拡大・変化する」という点です。一般的な湿疹や外傷とは異なり、自然に消退することはなく、放置すると皮膚の深層へ垂直に増殖し、毛細血管やリンパ管を通じて全身へと遠隔転移を起こすリスクを持っています。
悪性黒色腫の主な発症原因には、以下の要因が臨床的に指摘されています。
- 紫外線(UVB/UVA)被曝:特に幼少期の強い日焼けや、日常的な過度の紫外線曝露は、顔面や体幹部に生じるメラノーマの主要なリスク因子となります。
- 物理的な慢性刺激・摩擦:靴による摩擦や圧迫、歩行時の強い負荷などが繰り返される足の裏や足指は、日本人に最も多いタイプ(末端黒子型)の発生母地になりやすいと考えられています。
- 遺伝的要因・体質:特定の遺伝子変異(CDKN2AやBRAFなど)の関与や、全身に多数の異形成母斑(不規則なほくろ)を持つ体質は発症リスクを高めます。
- 免疫低下状態:臓器移植後の免疫抑制剤使用や後天的な免疫不全状態も発症に関与することが知られています。