大学入試の記述試験において「チェバの定理の逆を証明せよ」と問われた場合、あやふやな感覚的記述は通用しません。ここでは、採点基準を満たす2大アプローチである同一法と背理法のロジックを解き明かします。
アプローチ1:王道かつ平明な「同一法(一致法)」
記述答案で最も推奨されるのが、同一法による論証です。交点から新たな直線を引き、辺との交点が既知の点と一致することを示します。
- 交点の設定:直線BEと直線CFは平行でないとし、その交点をPとおく。
- 補助線の設定:直線APを引き、辺BCとの交点を$D'$とする。
- 順定理の適用:3直線$AD', BE, CF$は点Pで1点に交わっているため、通常のチェバの定理より次が成り立つ。
$$\frac{AF}{FB} \times \frac{BD'}{D'C} \times \frac{CE}{EA} = 1$$ - 条件式との比較:仮定として与えられている等式 $\frac{AF}{FB} \times \frac{BD}{DC} \times \frac{CE}{EA} = 1$ と見比べる。両式の両辺を比較すると、直ちに次が得られる。
$$\frac{BD}{DC} = \frac{BD'}{D'C}$$ - 点の一致を結論づける:点Dおよび点$D'$は、ともに線分BCを同一の比で内分(または外分)する点である。直線上において所定の内分比・外分比を満たす点は1つしか存在しないため、$D = D'$ である。
- 最終結論:点$D'$は点Dと一致するため、直線ADは交点Pを通過し、3直線AD, BE, CFは1点Pで交わる。
アプローチ2:論理矛盾を突く「背理法」
「3直線が1点で交わらない」と仮定して矛盾を導く背理法も有効です。直線BEとCFの交点をPとしたとき、もし直線ADがPを通らないと仮定します。このとき直線APと辺BCの交点を$D'$と置けば、$D \neq D'$となります。しかし同一法と同様の計算から $\frac{BD}{DC} = \frac{BD'}{D'C}$ が導かれ、異なる2点D, $D'$が同一の比で内分するという「内分点の一意性」に反する矛盾が生じます。したがって仮定は誤りであり、ADはPを通らなければなりません。