ネット上の掲示板やSNSでは、合流劇の直後から「旧伊勢ヶ濱勢と旧宮城野勢で派閥対立が起きているのではないか」「白鵬と伊勢ヶ濱親方の関係が冷え切っている」といった憶測が散見されました。しかし、取材現場から見えてくる現実は、そうした扇情的な噂とは大きく異なります。
実際の稽古場では、旧所属の垣根を越えた激しい申し合いが日常的に繰り広げられています。尊富士と伯桜鵬という同世代のホープ同士が何度も土俵に上がり、息を荒げながら互いの弱点を指摘し合う光景は、ライバルであると同時に最良の稽古相手を得た充実感に満ちています。
また、指導体制に関しても、白鵬(宮城野親方)は自らの処分を真摯に受け止め、稽古場では一歩引いた位置から伊勢ヶ濱親方の指導方針を補佐する姿勢を貫いています。伊勢ヶ濱親方もまた、白鵬の相撲理論や取り口の巧みさを若い力士たちに還元させる場面を設けるなど、双方が敬意を払った関係を築いています。外野が騒ぎ立てるような「確執」や「不協和音」は、プロの勝負師たちが共有する高い志の前には杞憂に過ぎなかったといえます。