由布院駅から車を南へ走らせること約5分。観光客で賑わう湯の坪街道の喧騒を離れ、木立に囲まれた緩やかな坂道を上った先に山のホテル夢想園が静かに佇んでいます。多くの旅行者が「由布院に来たら一度は入るべき」と口を揃える最大の要因は、盆地を見下ろし、正面に標高1,584メートルの由布岳を捉える計算し尽くされた借景の美学にあります。
昭和初期から続く長い歴史の中で、この宿が一貫して守り抜いてきたのは「人工物を極力視界に入れない」という景観への配慮です。近代的な巨大リゾートホテルのように高層化を図るのではなく、傾斜地を生かした本館や離れ、回廊を巧みに配置することで、湯船に浸かった人間の視線と同じ高さに雄大な自然が広がるパノラマを実現しました。眼前に広がる緑と空のコントラストは、長距離移動で疲弊した旅行者の視覚認知を一瞬で解放し、深いリフレッシュ感をもたらします。
観光庁の宿泊旅行統計や大分県の観光動向調査においても、由布院エリアにおける「景観と温泉の一体感」を求める旅行者満足度は極めて高く、夢想園はその象徴的アイコンとして長年君臨しています。