ネット上の口コミやSNS、現地の利用者の声を丹念に拾い上げると、国道九四フェリーの評価は「船内設備の満足度の高さ」と「アクセス道路の過酷さ」という明確な二面性を持っていることが分かります。
特に2021年に就航し、現在の主力船として稼働する新造船「涼かぜ」に対するユーザーの評価は極めて高水準です。「速なみ」「遊なぎ」に続く新世代船として投入された涼かぜは、船首側に設置された展望席からのパノラマビュー、プライバシーを確保できる個室(特別室)、さらにはバリアフリー対応のエレベーターや抗菌・抗ウイルス仕様の内装が施されています。
現場取材やSNS上で確認できる代表的な口コミには、次のような生の声が並びます。
「新造船の涼かぜに当たると当たり感がすごい。展望デッキのベンチで豊予海峡の風を浴びながら四国を眺めていると、70分なんて本当に一瞬で過ぎる」
「小さな子ども連れだったので個室を利用したが、周囲に気兼ねなく授乳や休憩ができて助かった。1時間ちょっとの航路でこれほど整っている船は珍しい」
その一方で、港湾へのアプローチに関してはシビアな意見が目立ちます。とりわけ愛媛側の三崎港へのルートである「佐田岬メロディーライン」は、日中は風力発電の巨大風車が連なる絶景ドライブルートである反面、夜間や濃霧時には街灯が極めて少なく、アップダウンと急カーブが続くタフな道路環境へと変貌します。
「三崎港からの帰り道、真っ暗な半島道路をひたすら走るのは想像以上に神経をすり減らした。フェリーで体力を回復できたから走れたが、運転初心者は日没前の便を選ぶべき」
「大分側の佐賀関港も、東九州道の大分宮河内ICから一般道を30分以上走る。フェリー乗船時間70分に対し、両岸の港へアクセスするための運転時間が合計2時間以上かかる計算を忘れてはならない」
船に乗っている時間自体は短く快適であるものの、港までの陸路アクセスを含めたトータルの旅程設計が求められる点が、利用者の共通した実感です。