タブレット端末で論文を読むことが日常化した東大生たちだが、最近になって興味深い現象が起きている。あえて分厚い学術書や、古い洋書を手にとって読みふける姿が目立つのだ。ある教養学部1年生は、「PDFで読むと頭を滑り落ちていく感覚があるが、紙の重みを感じながら読むと、著者の思考のプロセスが脳に深く刻まれる気がする」と語る。
このアナログ回帰の動きを、図書館側も歓迎している。書架のレイアウトをあえて「偶然の出会い」が生まれやすいように再設計し、目的のジャンル以外の本にも視線が届くような工夫が凝らされている。効率性だけを追い求める現代社会において、この「無駄な寄り道」こそが、東大が重視するリベラルアーツ(教養)の土壌を耕しているのだ。