料理の常識とされていながら、近年の食品衛生学や調理科学の進展によって「実は意味がない」「むしろ逆効果である」と判明した工程も少なくありません。
代表的な誤解が「生鶏肉の水洗い」です。食中毒菌(カンピロバクターなど)を洗い流そうとする行為は、水しぶきとともに菌をシンク周囲50cm以上に飛散させ、二次汚染を引き起こす極めて危険な行為として公的機関からも警告されています。表面のドリップは洗うのではなく、ペーパータオルで静かに押さえ拭くのが正しいひと手間です。
また、煮込み料理における「過度なアク取り」も注意が必要です。初期に浮き出る茶色く濁ったアクはエグ味の原因ですが、その後に出てくる透明な気泡や微細な脂まで取り除きすぎると、大切な旨味成分や脂溶性の香気まで捨ててしまうことになります。アク取りは最初の1〜2回に留め、その後は弱火で静かに煮含めるのが科学的にも正解です。