「ステンレス製と書かれていたのに、数か月で茶色いサビが浮いてきた」という失敗談は後を絶ちません。結論から言えば、ステンレスは「サビにくい金属」であって「絶対にサビない金属」ではありません。金属表面に形成されるごく薄い酸化被膜(不動態皮膜)によって酸化を防いでいますが、過酷な使用環境下ではこの皮膜が破壊されてしまいます。
特にキッチンや浴室でサビを引き起こす元凶は、「もらいサビ」と「塩素系成分の付着」です。鉄製の包丁や缶詰の底を濡れたままラックに放置すると、鉄側のサビがステンレスへと移染します。また、シンク掃除で使う塩素系漂白剤やカビ取り剤の飛沫を放置すると、不動態皮膜が化学的に破壊され、急速に腐食が進行します。
購入時に必ず確認したいのがステンレスの鋼種規格です。安価な製品には磁石がくっつく「SUS430(18-0ステンレス)」が多用されますが、水回りでは耐食性に優れる「SUS304(18-8ステンレス)」を採用したモデルを選ぶのが賢明です。SUS304はニッケルを含有しており、水気や湿気に対する耐久性が段違いに高くなります。
一方で、突っ張り収納を活用すること自体には絶大なカビ対策のメリットが存在します。直置きタイプの水切りかごやディスペンサースタンドは底面が常に濡れた状態となり、ピンク汚れや黒カビの温床になりがちです。突っ張りラックで空中に浮かせる収納を実現すれば、通気性が格段に向上し、水切れのスピードも圧倒的に早くなります。正しい素材選びとお手入れさえ怠らなければ、衛生環境を劇的に改善できる設備投資と言えます。