フクロモモンガが仮死状態に陥る背景には、単なる寒さだけでなく、複数の飼育環境リスクが複合的に絡み合っています。突然死理由として片付けられがちな事例の多くは、防ぎ得た環境不全に起因しています。
野生のフクロモモンガが生息するオーストラリアやパプアニューギニアの気候を考慮すると、飼育下における適正温度は24℃〜28℃(下限でも20℃以上)、湿度は50%〜60%が推奨基準です。
室温が18℃を下回ると体温維持が困難になり、急速に低体温症へ進行します。特に日本の冬場や春先の寒暖差において、ケージの設置場所が窓際やエアコンの風が直接当たらない死角にある場合、サーモスタットの感知温度と実際のケージ内温度に大きな乖離が生じるケースが散見されます。
さらに、フクロモモンガは極めて代謝が高い小型有袋類であるため、絶食耐性が極端に低い動物です。寒さで体力を消耗すると急速に血中グルコースを使い果たし、重度の低血糖症を併発して動けなくなります。これが「ぐったり動かない」状態を生み出す決定的なメカニズムです。