軽井沢町の北東部、湯川の源流域に位置する竜返しの滝は、手つかずの広葉樹林に囲まれた落差約8m、幅約10mの直瀑です。周囲に漂うマイナスイオンと森の静寂が、水しぶきを上げて岩肌を打ち鳴らす轟音と鮮やかなコントラストを描き出しています。
気になる「竜返しの滝」という印象的な名前の由来は、古くからこの地に伝わる伝説に端を発します。かつて浅間山の山麓に棲んでいたどう猛な大蛇(あるいは竜)が、上流へと遡上しようと試みたものの、あまりの急流と岩を噛む激しい水勢に恐れをなし、ついに登りきることができずに引き返したという逸話から名付けられました。現地の案内板や信州の郷土史料にも記録されているこの言い伝えは、現地に足を踏み入れた瞬間に納得させられます。整然とした観光地化が進む軽井沢エリアにおいて、この一角だけは荒々しい自然の生命力がそのまま息づいているのです。
大正から昭和初期にかけて文人墨客が静養に訪れた軽井沢の原風景を今に伝える場所として、派手な商業施設を好まないナチュラル志向のトラベラーから根強い支持を受け続けています。