霊園開設30周年記念事業として2015年に竣工し、世界的な建築賞でも称賛されたのが、プリツカー賞建築家・安藤忠雄氏の手による安藤忠雄建築「頭大仏」です。このプロジェクトは、元々露天に建立されていた全高13.5メートルの石造大仏を、すっぽりとコンクリート製ドームと人工の丘で覆い隠すという、前代未聞の逆転の発想から生まれました。
遠方から望むと、人工の円錐状の丘の頂上から大仏の頭頂部(螺髪)のみがぽっかりと顔を覗かせています。参拝者は、安藤建築の代名詞である打放しコンクリートのアプローチを歩み、静寂を湛えた広大な「水庭」を迂回します。心を鎮める結界をくぐり抜けて薄暗いトンネル状の回廊を進むと、突如として円形吹き抜けの青空が広がり、天空からの自然光を背負った巨大な大仏の全身が目前に迫る動線です。
この劇的なシークエンスについて、現地を視察した建築ジャーナリストは「外部から見えそうで見えない焦燥感を与えた後、頭上からの光で包み込む空間演出は、生と死、現世と彼岸の境界線を可視化させた安藤忠雄氏の最高傑作の一つ」と指摘しています。初夏を迎えると、ドームを覆う円形斜面には滝野霊園 ラベンダーの丘として約15万株の花々が咲き誇り、北海道の爽風とともに一面が鮮やかな紫色と芳香に包まれます。冬には白銀の雪で覆われ、ミニマリズムの極致とも言えるモノトーンの静謐が支配するなど、四季の移ろい自体が建築の一部として計算し尽くされています。