科学的に生存戦略であると証明された一方で、家庭で与える際には深刻な安全管理が求められます。ネット上では「自然由来の植物だからどれだけ与えても無害」という言説が散見されますが、獣医学的な観点から見れば明らかな誤りです。
最も警戒すべきは、またたび危険性と致死量の実態です。またたびに含まれる有効成分(マタタビラクトン類やアクチニジン、ネペタラクトール)は、脳の中枢神経を強く興奮させる作用を持ちます。健康な成猫が少量嗜む程度であれば、10〜15分ほどで受容体が疲労して自然と平常状態に戻るため、恒久的な脳障害を引き起こすことはありません。また、いわゆる薬物のようなまたたび中毒性と依存性(「欲しくて暴れ回る」「禁断症状が出る」といった身体的退薬症候)は確認されていません。
しかし、一過性の中枢神経麻痺作用がある点を見落としてはなりません。一度に大量の粉末を吸引・誤飲した場合、中枢神経の過度な麻痺から呼吸中枢が抑制され、呼吸困難や昏睡に陥る危険があります。個体差や体重に左右されるものの、粉末タイプのまたたびを一度に数グラム以上(耳かき1〜2杯が適量とされる中、小袋1パックを一気に舐め取るなど)誤食した現場では、激しい嘔吐、けいれん、運動失調を起こして救急搬送されるケースが動物救急医療の現場で報告されています。