ネット上の知恵袋やSNSでは、「前日に電源を切って水受け皿を確認したが、水が1滴も出てこない。やり方を間違えたのか」という焦りの声が毎年春先に急増します。この現象には明確な物理的・構造的理由が存在します。
水が出ない原因としてまず挙げられるのが、近年の高効率ファン式冷蔵庫の優れた自動霜取り性能です。日常的に霜がほとんど付着していない状態が保たれている場合、電源を切っても溶け出す霜自体が存在せず、蒸発皿に水が溜まらないケースは珍しくありません。また、電源を切ってから室温が低く、霜が溶けるまでに想定以上の時間を要している場合や、すでに微量の水分が自然蒸発してしまったことも考えられます。
ここで絶対にやってはいけないのが、「霜を早く溶かそうとしてアイスピックやマイナスドライバーでガリガリ削る行為」です。冷却器のアルミ配管は非常に薄く、刃先が少し接触しただけで穴が開き、中の冷媒ガス(可燃性のイソブタンなど)が漏洩して一瞬で製品寿命を迎えます。修理費用に5万円〜10万円以上かかるだけでなく、発火事故の危険性もあるため、どんなに時間がなくても自然解凍またはドライヤーの「冷風」のみで対処しなければなりません。