従来のサングラスといえば、目元を完全に隠すダークグリーン(G-15)やブラックレンズが主流でした。しかし、木村氏がメディアやプライベートで着用するモデルの多くは、透過率50%前後の「薄いブルー」や「ペールグレー」です。この選択には、演出論とコミュニケーション心理学に裏付けられた明快な理由が存在します。
第一の理由は、「視線による感情表現の可視化」です。映像作品において、俳優の目の動きはセリフ以上に心情を伝えます。完全に瞳が隠れてしまうと威圧感を与えるだけでなく、微細な表情の変化が視聴者に届きません。尾花夏樹という料理人の情熱や狂気、繊細さを伝える上で、目元が透けて見える「クリスタルブルーグレー(RB2140F 901/64)」は計算し尽くされた設計でした。
第二の理由は、「屋内・屋外をシームレスに繋ぐ現代のライフスタイル」です。木村氏本人が雑誌インタビューやトーク番組等で語ってきた通り、濃いレンズは室内に入った瞬間に視界を著しく奪い、外す動作を強いられます。木村氏は紫外線量に応じてレンズ濃度が自動で変化する「レイバン調光レンズ(Transitions®)」の普及アンバサダーを務めた際にも、「サングラスをかけ替える手間がなく、自然体で過ごせる心地よさ」を力説しています。