連載完結から年月が経過した現在も、野球ファンの集う掲示板やSNSでは「もしドカベンの登場人物を現代のトラッキングシステム(トラックマン)で計測したらどうなるか」という議論が絶えません。ファンの書き込みや専門メディアの検証記事を分析すると、極めて興味深い再評価が進んでいることが分かります。
特に注目を集めているのが、里中智の投球クオリティです。現代のメジャーリーグやプロ野球では、アンダースロー投手の「リリースポイントの低さ(VAA:垂直アプローチアングル)」が打者にとって極めて打ちづらい武器として再認識されています。里中の投じる「さとるボール」やシンカー、そして浮き上がる錯覚を与えるライジング軌道の直球は、現代の回転軸・変化量解析に照らしても一級品の数値を叩き出すと推測されます。
また、山田太郎の捕手としてのフレーミング能力(ストライクに見せる捕球技術)や盗塁阻止のポップタイム(捕球から送球到達までの時間)は、現代野球の評価軸であるWAR(勝敗貢献度)において天文学的な数値を記録することは間違いありません。水島新司が半世紀近く前に直感と取材力だけで描き出した野球描写は、現代のデータ野球によってその正しさが次々と証明されています。