キャビンへ足を踏み入れた瞬間、誰もが息をのむはずだ。最新アップデートがもたらした最大の劇変は、インテリアの徹底的な「静謐化」にある。かつてセンターコンソールを埋め尽くしていた無数の物理スイッチは、もはや影も形もない。
鎮座するのは、滑らかな曲線を描く11.4インチのフローティング式曲面ガラストラックディスプレイのみ。次世代インフォテインメント「Pivi Pro」が全機能を統合し、エアコン調整からオフロード走行モードの切り替えまで、ほぼすべての操作がわずか2タップ以内で完結する設計へと進化した。
物理ダイヤルに慣れ親しんだオールドファンからは戸惑いの声も聞こえる。だが、スイッチ類を排除したことで生まれた空間の広がりと、無駄を極限まで削ぎ落としたリダクショニズム(還元主義)の思想は、まさにモダンラグジュアリーの極致だ。Kvadrat社製の上質なウール混紡テキスタイルなど、非レザーのヴィーガンインテリアも選べる。持続可能性をエレガンスへと昇華させる手腕は、他社の追随を許さない。