ネット上の質問サイトやSNSで最も検索されている疑問の一つが、「なぜ稲沢駅には快速が停まらないのか」「快速停車化の要望はどうなっているのか」という点です。事実、東海道本線の看板列車である「特別快速」「新快速」「快速」は、いずれも稲沢駅を猛スピードで通過します。
現在、稲沢駅に停車する列車種別の境界線は極めてシンプルです。
- 普通列車:全列車が停車(稲沢駅利用者の主力動線)
- 区間快速:全列車が停車(主に武豊線直通列車など。名古屋〜大垣間を各駅に停車する運行形態)
- 快速・新快速・特別快速:すべて「通過」(名古屋〜尾張一宮間をノンストップ運行)
なぜ人口約10万人を擁する稲沢市の代表駅でありながら、快速系列が通過するのでしょうか。鉄道アナリストや交通史の取材データから浮かび上がる理由は大きく2つ存在します。
第1の理由は、「尾張一宮駅および岐阜駅との遠近分離と速達性の維持」です。東海道本線の名古屋〜岐阜間は名鉄名古屋本線との熾烈なスピード競争が繰り広げられてきた激戦区です。JR東海としては、岐阜・一宮方面の長距離利用者を新快速等で最速輸送(名岐阜間約18分)するため、途中駅の停車を極限まで絞り込む戦略をとっています。
第2の理由は、「普通列車だけで十分な高速輸送能力が担保されている事実」にあります。稲沢〜名古屋間は普通列車でも約11分しかかかりません。仮に快速が停車したとしても、短縮できる所要時間はせいぜい1分程度。逆に快速へ利用者が一極集中して乗降遅延が発生するリスクを避けるため、JR東海は普通列車を高頻度かつ高速で走らせる現在の運行体系を確立したという背景があります。