「言わんばかり」という表現を国語辞典などで引くと、「いかにもそう言いそうな様子であるさま」「今にも口に出して言いそうな勢い」と定義されています。核心となるのは、対象人物は「実際にはその言葉を一言も口から発していない」という決定的な前提条件です。
この表現の成り立ちを紐解く鍵は、古典文法から引き継がれたんばかり 文法用法にあります。「言わんばかり」の語源を分解すると、動詞「言う」の未然形である「言わ」に、古語における推量・意志の助動詞「む(撥音便化した『ん』)」が接続し、さらに程度や様子を表す副助詞「ばかり」が結合して成立しました。つまり、言わんばかり 語源の本質は「今にも口に出して言いそうなほど迫真に満ちた状態」を指し示しています。
日本語の文法体系において「〜んばかり」は、感情や物理的状態が限界まで高まり、外へ溢れ出そうな勢いを誇張する文脈で用いられます。「割れんばかりの拍手」「泣かんばかりに懇願する」「溢れんばかりの熱意」といった慣用句と同様に、感情の圧力が極限に達しているからこそ、言葉を介さずとも周囲にその意味が物理的な迫力をもって伝わってしまう情景を描き出すのです。