ネット上の掲示板や知恵袋などで「一時的なら水道水だけで十分」「どんな液でも混ざれば一緒」といった書き込みを目にすることがありますが、これらは現場の整備士から見れば極めてリスクの高い危険な誤解です。
水道水のみをタンクに注入して使い続ける行為は、中長期的に重大な不具合を引き起こします。第一に、日本の水道水にはミネラル分や塩素・カルシウム(カルキ)が含まれており、これらがノズルの微細穴で水分蒸発に伴って析出し、石膏のような頑固な結晶となって噴射孔を完全に塞ぎます。第二に、防腐剤が含まれていないため、夏季の猛暑下ではタンク内で藻やバクテリアが繁殖し、緑色のドロドロとしたヘドロ状の沈殿物が発生してポンプの吸い込み口を詰まらせてしまうのです。
さらに深刻な事故を招くのが、異なる成分のウォッシャー液を混用することです。市場には大きく分けて「シリコン系・フッ素系の撥水タイプ」と「界面活性剤主体の油膜取りタイプ」が存在します。これらをタンク内で混ぜ合わせると、化学反応によって白いゲル状の凝固物質が瞬時に生成されます。このゼリー状の異物はノズルはおろか、ホース、ポンプ内部、タンクの底に至るまで経路全体へ強力にこびりつき、結果として配管系すべての全交換を余儀なくされる大惨事へと発展します。液の種類を変更する際は、必ず古い液をすべて噴射し切ったうえで、一度真水を通してシステム内を洗浄する「共洗い」の工程が必須となります。