利便性を求めて導入したはずのかさ上げ台が、なぜ一部の家庭で強い後悔を生んでいるのでしょうか。ネットの掲示板やSNSを精査すると、その失敗理由の大半はドラム式洗濯機における揺れと騒音の激化に集中しています。
現代のドラム式洗濯機は、本体重量だけでも75〜85kg前後に達し、ここに水と濡れた衣類が加わると総重量は100kgを優に超えます。さらに脱水工程では、毎分1,000回転前後の高速遠心力が発生します。洗濯機をブロックやゴム製のかさ上げ台に乗せて床面から5〜10cm持ち上げる行為は、物理学的に言えば「超重量物の重心をあえて不安定な高所へ移す」ことに他なりません。
家電設置の現場で働くベテラン技術者は次のように語ります。「かさ上げ台の設置面がわずか1ミリ狂っているだけで、脱水時の微振動は何倍にも増幅されます。特にドラム式は偏心(洗濯物の偏り)に敏感なため、かさ上げ台の弾性が仇となって共振を起こし、エラーコードを出して何度も運転が停止するトラブルが後を絶ちません」。
さらに深刻なのが、洗濯機が倒れる危険性や位置ズレです。激しい振動によって洗濯機が台から脱落しそうになったり、周囲の壁や洗面台に激突して傷をつけたりする事例が報告されています。また、本体位置が高くなることで「低身長の家族が奥の洗濯物を取り出しにくくなった」「上部に設置していたランドリーラックの棚板にフタがぶつかるようになった」といった、日常動作の動線破綻による後悔も無視できません。