2013年夏、クラブのメディカルチェックをきっかけに精密検査を受けた久光重貴に下された診断は、右上葉肺腺がん(ステージ4)でした。すでに骨やリンパ節などへの転移が見られ、医師からは「通常の生活に戻ることすら容易ではない」と告げられるほどの極めて厳しい状況でした。
しかし、彼は絶望の淵に沈むのではなく、「がんと闘いながらFリーグでプレーする」という前例のない決断を下します。分子標的薬や抗がん剤治療による激しい副作用、倦怠感や発熱、爪の割れといった肉体的苦痛と戦いながら、トレーニングを再開。クラブ側も背番号「5」を空位にせず、選手登録を維持して復帰を待ち続けました。
公式発表資料および当時の報道記録によると、彼は治療の合間を縫ってコンディションを調整し、2014年以降も公式戦のピッチに立ち続けました。彼が見せたプレーは、がん患者にとっての「希望の灯火」となっただけでなく、スポーツ界全体に「アスリートと重度疾患の共存」という新たな可能性を提示しました。