本館の代名詞とも言えるのが、かつて「世界最大の万華鏡」としてギネス世界記録に認定された大型展示「巨大万華鏡スフィア」だ。鏡の回廊へと足を踏み入れると、幾何学模様がどこまでも増殖し、視界の360度すべてが光の渦で満たされる。万華鏡の内部に自分が入り込んでしまったかのような幻想的な浮遊感は、一般的な美術館の鑑賞体験を遥かに凌駕している。
この圧倒的な作品を手掛けたのは、ガラス作家であり本館の創設者でもある神谷勝氏だ。鏡の角度や光の反射係数を緻密に計算し尽くした構造は、物理的な空間の広さを忘れさせ、無限の奥行きを演出する。国内外の数ある現代ガラス工芸作品の中でも、これほどダイナミックに人間の感覚を揺さぶる展示は珍しい。