長らくスペシャリティコーヒーの世界では、「シングルオリジン」と呼ばれる単一農園のコーヒー豆が主役であり続けた。浅煎りの華やかな香りやフルーティーな酸味をいかに引き出すかという技術競争が加熱する一方で、カプチーノやカフェラテに使われる牛乳は、どこか脇役として扱われがちだったのも事実だ。
しかし、その固定観念を根本から覆したのが同店の哲学である。コーヒーの液体において、ラテの実に8割以上を占めるのは牛乳そのものだ。であれば、牛乳のクオリティと個性にこそ徹底的にこだわるべきではないか——この極めてシンプルで本質的な問いが、ブランドの起点となった。北海道という世界有数の酪農王国だからこそ実現できたこの逆転の発想が、成熟したコーヒー市場に鮮烈なインパクトを与えたのだ。