物語の舞台となるのは、夜になると恐るべき闇が全てを呑み込む呪われた土地・大墟。そこに位置する「残老村」で、主人公の秦牧(しんぼく)は育てられた。村に住むのは、肢体を失った老人や盲目の剣士、毒使いなど、かつて世界を揺るがした超一級の「悪人」たちだ。彼らから破天荒な技術と知恵を叩き込まれた秦牧は、自身を「普通の人間」と思い込んだまま世界へと踏み出す。
この初期設定の歪さと痛快さが、読者の視線を一瞬で捕らえて離さない。単なる無双系主人公ではなく、強烈な個性を放つ師匠たちの教えを胸に、世界の理不尽に立ち向かっていく姿は、どこか古典的な冒険小説の匂いを残しながらも極めて現代的な疾走感に満ちている。