施設の理念が異なる以上、収容されている少年の1日の過ごし方や、職員との距離感には大きな隔たりがあります。
児童自立支援施設:小舎夫婦制が育む「擬似家庭」の温もり
児童自立支援施設の最大の特徴は、伝統的に採用されている「小舎夫婦(しょうしふうふ)制」です。施設長や職員(児童自立支援専門員・児童生活支援員)が住み込みの夫婦となり、10名前後の子どもたちとひとつの家庭(寮舎)で寝食を共にします(※近年は交代制勤務のユニット制を導入する施設も増加)。
関係者の手記や退所者の告白では、次のような実情が語られています。
「朝起きて職員の“お母さん”が作ったご飯を全員で食べ、施設内の学校へ行き、放課後は農作業や木工などの作業療法に汗を流す。夜はリビングでテレビを見ながら職員と今日あったことを話す。非行に走った背景に親からの愛情不足があった私にとって、普通の家庭の温もりを初めて知った場所だった。」(元入所者の手記より)
敷地には高い塀がなく、外出訓練や地域行事への参加など開放的な環境で、約1年〜1年半をかけて生活習慣の再構築を目指します。
少年院:秒単位の規律と厳格な矯正教育
対照的に、少年院は厳正な規律をベースとした生活を送ります。指導を担当するのは国家公務員である法務教官です。起床から点呼、行進、整列、食事、就寝に至るまで分刻みのスケジュールで行動が管理されます。
教育プログラムは高度に体系化されており、主に以下の柱で構成されます。
- 生活指導:自己の非行原因の分析、被害者の心情を考える被害者視点教育。
- 職業指導:溶接、電気工事、フォークリフト、情報処理などの公的資格取得。
- 教科指導:義務教育の補習、高等学校卒業程度認定試験の学習。
- 体育・情操指導:集団行動、茶道・陶芸などの情操教育、メンタルトレーニング。
入所期間は少年の特性に応じ、特修短期(4ヶ月以内)、一般短期(5〜6ヶ月程度)、長期(概ね1年〜2年程度)などに区分されます。厳格な規律のなかで自己の罪と徹底的に向き合わせる点が少年院の本質です。