ネット上の体験談や誤った医療情報により、かえって予後を悪化させてしまうケースが後を絶ちません。最も警戒すべきは、回復期における「間違った自己流リハビリ」です。
警戒すべき主な後遺症(病的共同運動と拘縮)
顔面神経が再生する際、本来伸びるべき筋肉とは別の筋肉へ神経線維が誤って接続してしまう現象を病的共同運動(Synkinesis)と呼びます。「目を閉じると勝手に口角が引き上がる」「食事で口を動かすと目が勝手に閉じてしまう」といった異常な連動が発生します。また、食事時に涙がボロボロとこぼれる「ワニの涙症候群」や、筋肉が硬直して引きつる「顔面拘縮」も代表的な後遺症です。
良かれと思ってやってはいけない「3大禁忌」
- 初期・回復期の強い電気刺激(低周波治療):かつて行われていた顔面への低周波刺激は、神経の誤再生を促し、病的共同運動を激化させる危険があるとして現在のガイドラインでは強く戒められています。
- 無理な力みによる「全力の百面相」:動かない筋肉を無理やり力一杯動かそうとする運動は、異常連動の回路を脳と神経に焼き付ける原因になります。
- 顔の強い揉みほぐし:強い圧迫や摩擦は炎症を助長し、筋肉の変性を招きます。専門の理学療法士が指導する「愛護的なマッサージ」と「目と口を分離して動かすバイオフィードバック訓練」のみが有効です。