日本語吹き替え版における松たか子のパフォーマンスは、本家ディズニーのクリエイティブ・チームからも絶賛を浴びた。英語の「The cold never bothered me anyway」というフレーズを、日本語の音数と韻律に合わせながら、「少しも寒くないわ」という完璧な文脈に落とし込んだ翻訳の妙は、今なお語り草となっている。
松たか子は、単に歌唱力が秀でているだけではない。舞台女優として培われた緻密な感情表現が、フレーズの末尾に乗る吐息一つにまで宿っている。強がりと解放感、そしてかすかな孤独感が混ざり合ったあの「わ」の余韻。それこそが、日本の観客の心を捉えて離さなかった最大の理由だろう。