表立った恐喝が不可能となった現代、資金力を持つ一部の幹部層が依存しているのが「フロント企業(企業舎弟)」を通じた合法ビジネスへの寄生です。建設業、解体工事業、産業廃棄物処理業、太陽光発電施設の用地買収、さらにはIT関連の受託会社やスカウト会社まで、業種は多岐にわたります。
かつてのように「暴力団関係者が役員に名を連ねる」ような杜撰な形態はもはや存在しません。警察や銀行のコンプライアンスチェックを潜り抜けるため、前科のない親族や協力者の名義を使い、資本関係を何重ものダミー会社でカモフラージュしています。彼らが請け負うのは、一般企業が敬遠する「近隣トラブルの多い開発用地の地上げ」や「外国人労働者の非正規手配」など、グレーゾーンの汚れ仕事です。表向きは優良企業として振る舞いながら、利益の一部が配当やコンサルティング料という名目で組織の裏金として吸い上げられています。
一方、地方都市や沿岸部で深刻な社会問題となっているのが、暴力団のシノギとしての「密漁ビジネス」です。ターゲットとなっているのは「黒いダイヤ」と呼ばれる乾燥ナマコやアワビです。特にナマコは中国など東アジア圏での高級中華食材としての需要が極めて高く、乾燥品は1キロあたり数万円から十数万円という高値で密売されます。
密漁の手口は極めて組織化されています。高性能ソナーと大型エンジンを積んだ特注のプレジャーボートを用い、海上保安庁の監視船が近づけない浅瀬や夜間の闇に紛れて潜水器漁を強行します。潜水役(ダイバー)、見張り役、陸上への運搬役、加工拠点での塩蔵・乾燥役までがシステマチックに分業化されており、摘発されてもトカゲの尻尾切りで上位幹部に捜査が及ばない仕組みを構築しています。漁業法改正によって密漁に対する罰則は「3年以下の懲役または最高3000万円の罰金」へと大幅に引き上げられましたが、数千万円単位の即金が転がり込むため、食い詰めた地方組織にとっては依然として捨てがたい資金源となっています。