個人の情報発信が積み重なった結果、それは行政の施策すら左右する巨大なうねりとなっている。高山市役所の観光振興セクションも、住民が発信する率直なフィードバックや訪問者の生の動線を無視できない。上から目線のキャッチコピーを並べた従来の観光マーケティングが限界を迎えるなか、現場で自生するローカルメディア産業が示すデータは、観光地の未来を占う羅針盤そのものだ。
どの地区のどんな食事が注目を集め、旅行者がどこで不便を感じているのか。商業的なプロモーションでは見えてこないリアルな需給のギャップが、コメント欄のやり取りや閲覧数の波から露わになる。地域経済を底流で支えているのは、派手な広告代理店のキャンペーンではなく、町工場や商店主たちが自発的に耕し続けてきた草の根のネットワークに他ならない。