混色において最も多い悩みが、「塗れば塗るほど画面が濁る」という現象だ。多くの人が肌色を作る際、ベースとなるペールオレンジ(薄い橙)に黒やグレー、あるいは単純なブラウンを足して影を作ろうとする。これがくすみの最大の原因だ。人間の場合、皮膚の下には毛細血管が走り、光が半透明の皮膚組織を透過して散乱する。したがって、影の境界線には鮮やかな赤やオレンジの「皮下散乱」を意識した色を差し込む必要がある。
デジタルと絵の具の両方で使える黄金比率は、ベースの肌色に対して「ベース色 70%」「影の環境光(青や紫)20%」「血色感(朱色・ピンク)10%」の比率を意識することだ。影の中に暗いグレーを入れるのではなく、少し色相を青・紫寄りへずらしつつ彩度を保つ。この色相移動(Hue Shift)こそが、濁りを消して透明感を宿す最大の裏技だ。