撮影は波の音と潮風が響く地方の沿岸部で行われており、天候の急変など厳しい自然環境との闘いも少なくない。しかし、現場の空気は驚くほど穏やかで熱気に満ちている。是枝組ならではの丁寧なコミュニケーションと、現場でのひらめきを即座に採り入れる柔軟性が、キャストやスタッフのモチベーションを最高潮に高めているようだ。
撮影スタッフの一人は、「監督はカメラが回っていない時間の役者たちの会話や何気ない仕草を鋭く観察しており、その日の撮影プランを大胆に変更することもある。有村さんと佐藤さんが夕暮れ時の海岸でふと見せた表情があまりにも素晴らしく、その場で台本にない新しいシーンが追加されたほどだ」と明かす。奇跡的な瞬間を逃さず切り取る撮影スタイルが、作品に生の呼吸を与えている。