「神宮」を名乗る社の中には、天皇そのものを祀っている社だけでなく、神宝や武神を祀る社も存在します。その背景を知る上で欠かせないのが、明治神宮と熱田神宮に代表される由緒と、明治時代に整備された近代社格制度の歴史です。
愛知県名古屋市に鎮座する熱田神宮は、三種の神器の一つである「草薙神剣(くさなぎのつるぎ)」をご神体としてお祀りしています。天皇の皇位の象徴である神器を祀ることから、古くから伊勢に次ぐ尊い社として「神宮」の号を賜ってきました。一方、東京の明治神宮は、明治天皇と昭憲皇太后の崩御後、国民からの強い創建要望を受けて大正時代に造営された比較的新しい神宮です。
かつての近代社格制度では、国家によって神社が「官幣大社(かんぺいたいしゃ)」「国幣中社(こくへいちゅうしゃ)」といった厳密なランクに分類されていました。第二次世界大戦後にこの公的格付けは撤廃されましたが、現在は神社本庁の社格における「別表神社(べぴょうじんじゃ)」制度へと引き継がれ、歴史や規模に応じた人事・運営上の敬意が払われています。