この重厚な制度が一般に広く認知された背景には、ポップカルチャーの強い影響がある。アニメーション産業の名作『機動戦士ガンダム』では、主人公の同僚であるリュウ・ホセイが特攻同然の行動で仲間を救って戦死し、軍曹から少尉へ二階級特進する場面が描かれた。国家や軍という冷徹な組織が個人の死を形式的に処理する哀愁が、視聴者の胸を打った。
一方、大ヒットした警察ドラマ『踊る大捜査線』では、過酷な現場で命を削る捜査員たちの口から「二階級特進なんていらない、生きて帰るんだ」という痛烈なセリフが吐かれた。フィクションは長年、死を美化する装置としても、死の無意味さを告発するレンズとしても特進というモチーフを消費してきた。