日本ワインがこれほどまでの高みに到達する背景には、信念に生きた先人たちのドラマがある。かつて日本固有の風土で本物のワイン造りを目指し、若き醸造家たちに多大な思想的影響を与えた故・浅井宇介。彼の哲学と情熱に突き動かされた若者たちの挑戦は、書籍や映画『ウスケボーイズ』としても広く描かれ、多くの人々に日本ワインの存在意義を問いかけた。
そのフロンティアスピリットを現代において最も鮮烈に体現している醸造家の一人が、「グレイスワイン(中央葡萄酒)」の栽培・醸造責任者を務める三澤彩奈だ。日照時間の長い北杜市明野に自社畑を開墾し、驚くほどの手間暇をかけた高密度の垣根栽培を実践。彼女が手がけるキュヴェは、世界最高峰の国際品評会デカンター・ワールド・ワイン・アワードで幾度となく最高賞を受賞し、日本のテロワールが世界のトップレベルに伍することを証明し続けている。彼女をはじめとするトップランナーたちの妥協なき眼差しが、産地の未来を照らしている。