ハノイ市ハイバーチュン区のローダック通り。創業40年以上の歴史を刻む名店「Phở Thìn Lò Đúc(フォーティン ハノイ本店)」には、毎朝どんぶりを抱えてスープをすする地元民の姿が途切れることはない。その味を守り続けてきたのが、伝説の創業者グエン・チョン・ティン(Nguyen Trong Thin)氏である。門外不出とされたその秘伝レシピが海を渡ることなど、誰も想像していなかった。
その扉をこじ開けたのが、株式会社Pho Thin Tokyo代表の墨健二(Kenji Sumi)氏だ。現地で口にした一杯の衝撃に突き動かされ、言葉も通じない中でティン氏の元へ幾度も通い詰めた。弟子入りを懇願し、早朝からの仕込みを共にする日々。青年の並外れた熱意に心を動かされたティン氏は、世界初となる暖簾分けを正式に承諾する。こうして2019年、池袋本店(Pho Thin Tokyo 第1号店プロジェクト)が産声をあげた。