ドラマで描かれる華々しい逆転劇と、実際の司法現場にはどれほどの乖離があるのだろうか。日本弁護士連合会(日弁連)に所属する実務家たちへの取材を重ねると、ドラマが持つ「虚実皮膜」の面白さが浮かび上がってくる。
実際の裁判員裁判や民事訴訟において、法廷内で突然新証拠を突きつけて相手を論破するような劇的展開は、証拠開示手続きの厳格さゆえに現実にはまず起こり得ない。法廷での弁論は、何ヶ月にも及ぶ地道な書面作成や判例調査という氷山の一角に過ぎないのだ。
だが、優れた脚本家たちはその地味な準備段階の攻防を、心理戦や人間ドラマへと見事に昇華させる。依頼人との張り詰めた信頼関係の構築、証人の証言の矛盾を突く尋問の技術。フィクションならではの誇張を交えつつも、弁護士という職業が背負う倫理的葛藤と孤独を浮き彫りにする点において、秀逸な法廷劇は極めて高いドキュメンタリー性を帯びている。