言葉の歴史を辿ると、「肩身」という表現は平安時代の和歌や中世文学にまで遡る古風な概念だ。古くから「肩身が広い」といえば世間に顔が立ち、胸を張って誇らしく振る舞える様子を指し、「肩身が狭い」はその対極として、世間体や面目を失って肩を落とす姿を描写してきた。
心理学や身体論の視点からも興味深い事実がある。人間は強い罪悪感や引け目を感じると、自衛反応として無意識に首をすくめ、肩を内側へ巻き込み、身を縮めようとする。まさに「肩身が狭い」という言い回しは、感情の動きと身体の肉体反応が完璧に合致した、日本語ならではの実に写実的な観察眼の産物と言えるだろう。