ネット上の情報では混同されがちですが、獣医学的には「吐き戻し(Regurgitation)」と「嘔吐(Vomiting)」は全く異なる生体反応であり、発生源も原因疾患も異なります。
吐き戻しは、食べ物が胃に到達する前、あるいは胃に入って間もない段階で食道から受動的に逆流する現象です。猫はお腹を波打たせるような予兆動作(腹筋運動)を行わず、突如として筒状または未消化ペースト状のフードを吐き出します。これは早食い、食道巨大症、あるいは食道の狭窄などが主な要因となります。
対して嘔吐は、脳の嘔吐中枢が刺激され、強い吐き気(激しいよだれ、落ち着きのない行動、連続する嚥下)を伴った後にお腹を大きく波打たせて胃内容物を能動的に絞り出す現象です。胃腸炎、膵炎、異物誤飲、腎不全など全身性疾患が引き金となります。愛猫が吐く瞬間の動作が「吐き戻し」なのか「能動的な嘔吐」なのかを動画で記録しておくことは、獣医師が正確な鑑別診断を下す上で極めて価値の高い情報となります。