この大改革の舵を握る法務省の危機感は切実だ。日本の刑法犯認知件数が長期的な減少傾向を示す一方で、検挙者に占める再犯者の割合、いわゆる「再犯者率」は高止まりを続けてきた。出所しても住居がない、職がない、頼れる家族がいない。そして孤立した元受刑者が再び罪を犯すという負の連鎖だ。
従来の懲役刑が科してきた刑務作業は、国庫への納付金を生み出す一方で、高度情報化社会に適応するためのスキル習得には必ずしも結びついていなかった。法務省が進める新たな処遇モデルでは、民間のIT企業や福祉施設と連携した教育支援、メンタルヘルスのケアが本格導入されている。単に身柄を囲い込んで苦痛を与える「応報」の時代は終わりを告げた。社会の安全を守るための最短ルートは、彼らを社会から排除し続けることではなく、納税者として地域に軟着陸させることだという冷徹な計算がそこにある。