樹海=魔境というパブリックイメージの決定打となったのは、昭和の文豪・松本清張が著した長編小説『波の塔』だった。この作品の結末が大きな話題を呼んだことで、青木ヶ原は特定のニュアンスを帯びて世間に定着してしまった経緯がある。
長年この地と向き合ってきた山梨県警察や地元自治体、民間パトロール隊の取り組みは想像以上に泥臭く、そして献身性に満ちている。監視カメラの設置や遊歩道の巡回、声かけ活動を強化した結果、現場の様相は大きく変わりつつある。「不穏な噂ばかりが一人歩きして、命を救おうとする地域の人々の努力が見過ごされてきた」と、長年ボランティアを続ける関係者は静かに語る。