ネット上には「バイヤーになればメーカーから接待を受け、好きな商品を仕入れて優雅に過ごせる」といった短絡的なイメージが散見されますが、これは現場の実態から最もかけ離れた誤解です。現代のドラッグストア運営において、個人的な「勘」や「センス」で仕入れを決める余地は微塵も残されていません。
バイヤーのデスクワークの大半を占めるのは、膨大なスプレッドシートやBIツールと格闘する数字の検証作業です。過去3年間のPOSデータ、天候予測、競合店のチラシ価格、プロモーションごとのリフト率、廃棄ロス率を徹底的に洗い出し、1品あたりの収益性を科学的に証明できなければ、上層部の承認(バイイング権限)は下りません。
また、「買い手であるバイヤーが常にメーカーに対して絶対優位にある」という見方も時代遅れです。特に人気が集中する有名コスメブランドや供給が逼迫する一般用医薬品(OTC医薬品)の仕入れにおいては、メーカー側が「どの流通チェーンに優先して商品を卸すか」を選別する時代に入っています。競合他社に負けない販売力やプロモーションの熱量をバイヤー自らがプレゼンテーションし、メーカーの信頼を勝ち取らなければ、看板商品すら店頭に並べられなくなります。高圧的な態度のバイヤーはメーカーから敬遠され、結果として有力な新商品情報が入らなくなり自滅していくのが近年の流通ビジネスの厳しさです。