テレビ番組のコメンテーター枠を離れた後、高橋氏が最大の主戦場としたのがウェブメディアと動画共有プラットフォームです。公式チャンネルである『髙橋洋一チャンネル』は開設から破竹の勢いで登録者を伸ばし、現在では登録者数100万人を超える巨大メディアへと成長しました。さらに文化人放送局の『洋一の部屋』など関連コンテンツも高い再生数を維持しています。
なぜ、これほどまでに熱狂的な支持を集めるのか。支持層が挙げる最大の魅力は、難解な国家予算やマクロ経済の構造を「小学生でもわかる算数」に置き換えて即座に解説するプレゼンテーション力にあります。「財務省の役人は数字が苦手」「新聞記者は基礎的な統計学を知らない」とバッサリ切り捨てる毒舌トークは、大手オールドメディアへの不信感を抱く中高年男性層やビジネスパーソンの胸をすく爽快感を提供しています。
しかし、ネット掲示板(5ちゃんねる等)やSNS、経済アナリストコミュニティでの反発もまた強烈です。寄せられる主な批判は以下の通りです。
- 複雑な政策課題の過度な単純化:社会保障制度や国際金融の複雑な力学を「数学の恒等式」のように単純化し、副作用を無視しているという指摘。
- 予測が外れた際の説明責任:為替レートやインフレ動向、選挙結果の予測において、思惑と異なる結果が出た場合に沈黙するか論点をすり替える傾向があるとの批判。
- 強い確証バイアスと二元論:自分に賛同する者を「知性がある」、批判する者を「財務省の犬」「不勉強」とレッテル貼りするコミュニケーション手法への忌避感。
社会心理学的に見れば、高橋氏のコンテンツは「権威(元エリート官僚・東大卒)」が「既得権益の不正を暴く(陰謀の暴露)」という強力な物語構造を持っており、情報過多に疲弊した現代人が最も心地よく受け入れやすい情報フォーマットを確立していると言えます。