国民的キャラクター「サザエさん」が産声を上げたのは、終戦直後の1946年(昭和21年)4月22日のことでした。舞台は東京ではなく、戦時中に疎開していた福岡市です。地元の夕刊紙『夕刊フクニチ』から連載漫画の依頼を受けた当時26歳の長谷川町子は、新連載のアイデアを練るため、妹の洋子とともに百道浜(ももちはま・現在の福岡市早良区)の海岸を散歩していました。
自伝的エッセイ漫画『サザエさんうちあけ話』によると、「海辺を歩きながら、海の生物の名前を登場人物につけよう」と思いついたのが、サザエ、カツオ、ワカメ、波平、フネといった海産物ファミリー誕生の瞬間でした。敗戦直後の物資不足と混乱の中、明るく前向きに生きる庶民の日常を描くコンセプトは、瞬く間に読者の心を掴みます。
その後、長谷川一家が東京へ引き揚げると同時に連載はいったん終了しますが、1949年(昭和24年)からは『朝日新聞』朝刊での連載がスタート。1974年(昭和49年)2月の休載に至るまで、通算6,477回に及ぶ長期連載となり、日本の新聞漫画史における金字塔を打ち立てました。