ネット上には「セント・フォースなどの専門事務所に入れば自動的に仕事が舞い込む」「元日テレの肩書があれば引く手あまたである」といった言説が散見されますが、これは現場の実態を知らない大きな誤解です。
実際には、元キー局アナウンサーの供給過多と、テレビ番組自体の枠数減少により、フリーアナウンサー市場は完全なレッドオーシャンと化しています。かつてはキー局退社組というだけで各局が争奪戦を繰り広げましたが、現在では「そのアナウンサーを起用することで、どのようなコア視聴率(若年層ターゲット)が獲れるのか」「SNSでどれだけの拡散力を持つのか」というシビアな費用対効果が問われます。
また、「局アナ時代の方が自由がなかったからフリーになれば楽になる」という認識も実態とは異なります。局アナ時代は番組の制作スタッフ、スタイリスト、警備、法務・コンプライアンス部門に至るまで、巨大な組織のバックアップが存在しました。フリーや独立起業となった瞬間、自らの発言の全責任を背負い、個人の名前で営業や条件交渉を行う必要があります。自由を手に入れることと引き換えに背負うリスクの重さは、局員時代とは比較になりません。