『ともに』が誕生した2016年は、WANIMAにとって飛躍の年であると同時に、バンドの根幹を揺るがす出来事に見舞われた激動の時期でした。同年4月、ボーカル・ベースのKENTAとギター・コーラスのKO-SHINの故郷である熊本県を震度7の大地震が襲います。愛する地元が傷つき、家族や仲間が避難生活を余儀なくされるなか、東京で音楽を鳴らすことへの葛藤や無力感に苛まれていたと当時の音楽誌インタビューで克明に語られています。
CMソングのオファー自体は震災前から動いていたものの、KENTA作詞の経緯を辿ると、震災直後の生々しい空気感が歌詞の細部に決定的な深みを与えたことは明白です。オファー元が求めた「爽快感あふれる青春ソング」というオーダーに応えつつ、KENTAは単なる耳触りの良い応援フレーズを徹底的に排除しました。
報道関係者の取材メモによると、当時のスタジオ作業でKENTAは「遠く離れた熊本の仲間にも、今目の前で生きることに必死なやつらにも、嘘のない言葉しか届けたくない」と漏らしていたといいます。このWANIMA制作秘話と真相を知ると、「どれだけ過去が辛く暗くても 昨日よりも不安な明日が増えても」というフレーズが、単なる抽象表現ではなく、崩れた故郷の景色と先行きの見えない日々に立ち向かうリアルな祈りであったことが痛いほど伝わってきます。