百貨店の相次ぐ撤退という深い痛手を負った黒崎駅前ですが、現在は焼け野原のまま放置されているわけではありません。むしろ、旧来の百貨店モデルへの執着を捨てたことで、新たな都市機能への更新が目覚ましいスピードで進行しています。
地元住民の間で最も関心が高かった黒崎駅の井筒屋跡地の現在については、旧メイト黒崎ビルの大規模な解体工事が完了し、敷地全体の再整備が着々と進められています。行政と民間デベロッパーによる再生計画では、高層タワーマンションを主軸に、低層部にはクリニックモールや調剤薬局、日用品・生鮮食品を扱うスーパーマーケット、地域交流広場を配置する複合開発へと舵が切られました。「モノを買いに来る場所」から「駅前に住み、日常生活を完結させる場所」への転換です。
一方、駅西側にペデストリアンデッキで直結する黒崎駅のコムシティ商業施設は、波乱の歴史を経て確固たる役割を確立しました。2001年の開業直後に商業区画が経営破綻するという苦渋を味わいましたが、北九州市がビルを取得し、八幡西区役所や保健所などの行政機能を全面的に移転集約。現在では平日を中心に多くの市民が区役所や子育て支援センター、西鉄イン黒崎を訪れる官民融合型の生活インフラとして完全に定着しています。
このように、黒崎駅の再開発の最新状況は、過去の栄光であったメガ商業の再現ではなく、居住機能と行政窓口、地域医療を駅前に凝縮する「コンパクトシティ」の縮図として再構築が進んでいます。